DJ無也率いるニューヨーク・ハーレムの下剋上からSharp-A-Donが1stアルバム『INTOXICATED WATER』をリリース。シャープは下剋上名義のアルバム『The ALBUM』で日本人のラッパーとも共演を果たしており(SEEDAもその一人)、来日(日本でのツアー)経験もあるラッパーだ。筆者は特にギャングスタ・ラップが好きなわけではないがシャープのスキルはオススメ。実際何回かNYCでそのレコーディング風景を見せてもらったこともあるのだが、煙とヘネシーにまみれながらリリックを書かず(持たず)に次々とレックしている姿を見ると「ライフ・イズ・ミュージック」という言葉をリアルに感じることができた。以下のインタビューも(基本的には無也が答えてくれたものだが)、ライブ感のあるものだと思う。日々のノイズが多いのはアメリカ(NYC)も日本(TOKYO)も同じだろうが、やはり無也のインタビューを読むと音楽自体、音楽の制作自体は日本よりも日常的な気がするが…どうだろう。
ーーー今回のアルバムに統一したコンセプトはありますか?
無也「今回は Sharp-A-Don(シャープ・ア・ドン) のアルバムってことで、俺だけの意向で決めたワケではないよ。ただシャープとロン・ブラウズと俺で…っていう流れは決めてた。やっぱり意識してるところは ハーレム かな。最近はキレイなハーレムも見えるけど、こんな汚いところで生活してるやつもまだいるってことだね。とにかく色んなハーレムの生活場面で聴けるものに仕上げたから俺らの生活がかなり出てると思う。音に関しては色んなジャンルに聞こえるかも知れないけど、これが俺らのHIPHOPだからね。後はノリだよ。1曲目の「Gang Sta」はシャープは一生ギャングスタでいるみたいなことを誓ってる。365日ギャングスタだって(笑)。あと捕まった仲間のことも。他にも「NASTY」ていう曲はストリップソングだね。これは皆でストリップ行った時に「 YO! なんかストリップの曲があったらこの女達もっと狂うでしょ?」っていうノリでストリップの帰りに作った。「5IN DA MORNIG」は、女が朝5時にムラついたら俺に電話くれみたいな。CLUBの帰りとか酔っぱらって俺らもよく朝の5時ぐらいに女に電話するからね(笑)。そういう普段の生活感を出してるね。とにかく黒いアルバムだよ。」
ーーーシャープとの間でレコーディングの間、楽曲について話し合ったりしますか?
無也「もちろんいつもすげ~話し合ってる。でも音楽や考え方も合うところもあればもちろん合わないところもある。それはやっぱりHIPHOPに対する考え方にリアルだからだね。俺には考えられないこともやってくるからね。俺がもっとこうした方が良いとかいうと、聞き入れるところもあれば聞き入れないところもある。やっぱ自分をすげぇ持ってるからね。やっぱり俺は枠にハメようとするけど、そうすると、いつもシャープたちに『WHERE IS UR HARLEM SWGA?(おまえのハーレムのスタイルはどこにあるんだ?)」とか聞かれるね。『俺らはハーレムだぜみたいな』(笑)」
ーーーロン・ブラウズが参加していますが、下剋上とロン・ブラウズのレコーディングの流れを伺いたいです。
無也「ロン はシャープの幼なじみなんだよね。シャープは昔からハーレムでUptown CrewとMONEY AVEっていうグループをロンとやってて、BETやらHOT97とかに出てたんだよね。俺がシャープのアルバムを作ってるって話になったら、ロンが『俺も参加する』みたいな軽いノリからスタートした。ロンも色んな場所に飛び回っててかなり忙しいから、時間が空いたらスタジオに来てレックしたり音を確認したり少し調整したりね。ロンの感性は凄いと思う。とにかくなんでもありだし、聞いたときのフィーリングをすげぇ大事にしてるからね。俺も勉強することがいっぱいあったよ。他にもロンの家でレックしたりとか結構時間が掛かったからね。」
ーーーそれはどんな「レコーディング現場」でしたか(雰囲気やテンションなど)?
無也『とにかくテンションが高いね。 スタジオにみんな遊びに来てる感じだよ(笑)。酒飲み過ぎてスタジオで吐いたやつもいたりね。でも自然に出来ていく、なんだろうな? その流れが本当に大事で俺もそれを大切にしてる。だからこのアルバムは俺らの生活だよね。結構内容についてはたまに言い合いすぎて喧嘩したり。だから真剣だよやっぱり。リアルなもの作りたいからね。でも結構、NYで売れてる曲も俺からしたら『えっ?」みたいな感じから生まれてるのもかなりあるからね。俺らは俺らしい作り方で作るだけだね。だから全曲ヤバいよ。」
ーーーシャープから日本のヘッズに向けてメッセージをお願いします。
シャープ『まず最初に言いたいことは日本のヒップホップ文化、ファンには心からアツいラヴとサポートを…感謝してるぜ。去年、日本のヒップホップの音楽に対して忠誠心を持ったファンの前で、その素晴らしい国でライブできたことは俺にとっても名誉なことであり、それはかけがえのないことだ。そして今年はその素晴らしい日本のヒップホップの文化へ俺が恩返しする番で、俺はそのために必死にこのアルバムを完成させた。今回は俺の兄弟であるロン・ブラウズとビックスにプロジェクトに参加してもらってる。俺の第二の故郷である日本に帰ることが楽しみでしょうがないよ。1 Love, 1 Life Gekokujo-Boogaz on da wall!』
ーーー最後に下剋上の今後の活動について聞かせて下さい。
無也『今年は色々動くよ。スタジオに隠りっきりだったからね。もちろん音の制作もするけど、新しいことにもどんどん挑戦して行くよ。Mix CDもかなり面白いのを作ってる。みんなが知っている日本の曲をサンプリングした曲とかね。他にも日本人の新しいラッパーを全面的にプロデュースもしてみたいね。もしニューヨークまで本気で来るアツい奴が居るならデモでも送ってよ。下剋上で住む所と飯くらい面倒見れるから(笑)』
インタビュー by BUNDAI YAMADA
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